- 確定申告で配当控除と外国税額控除を申請したい
- とりあえず配当控除と外国税額控除がどれくらいになるか計算・シミュレーションしたい
世の中には便利な会計ソフトがたくさんありますが、それらはどちらかというと事業の帳簿をつけるために便利であって、高配当株投資や海外ETFの配当計算に関する機能はそんなに充実していません。
私もやよいの青色申告オンラインで確定申告をしましたが、配当控除や外国税額控除については、いきなり「配当控除額と外国税額控除額を入力してください」「区分を入力してください」と言われて「はあ!?」ってなりましたw

ええー! 配当控除や外国税額控除の自動計算機能ないの!?
最終的に、私は国税庁のe-Tax作成システムで計算し、計算結果を弥生のソフトに反映して確定申告できました。
そこで本記事では、e-Taxを使用した配当控除額と外国税額控除額の計算方法について解説します。
もちろん、そのままe-Taxで確定申告の申請まで済ませることも可能です。
ただ、あくまで私の場合ですので、最終的に正しいかどうかは、専門の税理士の方や税務署の担当者にご確認ください。
税理士や税務署の人へ相談する前の叩き台として参考になれば幸いです。
また、解説している証券口座タイプは以下の通りとなります。
- 楽天証券・特定口座(源泉徴収あり)で日本個別株と米国ETF
- SBI証券・特定口座(源泉徴収あり)で日本個別株と米国ETF
- SBIネオモバイル証券・特定口座(源泉徴収あり)で日本個別株
事前に用意しておく書類
- 給与所得がある方は源泉徴収票
- 給与以外の所得がある方は総収入と総所得(収入-経費)がわかるもの
- 証券口座の年間取引報告書
- 証券口座の配当案内書または支払通知書
証券口座の書類関係は以下の方法で閲覧できます。
楽天証券の年間取引報告書・配当案内書の見方
楽天証券にログインし、右上のマイメニューから取引報告書等(電子書面)を選択。
書面の種類「年間取引報告書」を選択して表示するをクリック。
確定申告対象年の特定口座年間取引報告書の閲覧するを押せば、年間取引報告書が表示されます。
配当案内書については、少し面倒です。
- 書面の種類「すべての報告書」
- 閲覧状況「すべて」
- 対象日「期間指定」で、確定申告対象年の「1月1日~12月31日」に設定
- 表示するをクリック
- 一覧から「外国証券権利・配当案内書」の閲覧するをクリック
配当案内書は配当が入るたびに交付されるため、1文書にまとまっていません。
また楽天証券は配当案内書だけ絞り込みができないので、漏れがないよう注意しましょう。
配当案内書の配当金を全て合計すると、年間取引報告書記載の配当金と一致するので、両者を比較することで見落とし防止になります。
SBI証券の年間取引報告書・配当の支払通知書の見方
SBI証券にログインし、口座管理から電子交付書面をクリック。
ページ中段あたりの「閲覧」をクリック。
SBI証券の年間取引報告書については電子ポストの件名「年間」で絞り込み、確定申告対象年の次の年に発行されている特定口座年間取引報告書を表示で閲覧できます。
(2020年の年間取引報告書を見たいなら、2021年1月発行の年間取引報告書を選びます)
年間取引報告書と同様に、配当通知書は件名「配当」で絞り込めば一覧表示されます。
受信年月を確定申告対象の1月~12月にするのを忘れずに。
SBIネオモバイル証券の年間取引報告書の見方
SBIネオモバイル証券にログインし、右上の三本線(メニュー)からマイページを選択。
報告書等閲覧サービス(電子交付)を選択。
閲覧を選択。
電子ポストの件名「年間」で絞り込み、確定申告対象年の次の年に発行されている特定口座年間取引報告書を表示で閲覧できます。
(2020年の年間取引報告書を見たいなら、2021年1月発行の年間取引報告書を選びます)
手順① e-Tax作成画面から各所得を入力
まず国税庁 確定申告書等作成コーナーへアクセスします。
作成開始をクリック。
印刷して提出を選択。
会計ソフトを使わず、e-Taxで確定申告予定の場合は他の提出方法を選択いただいても問題ありません。
推奨環境を確認の上、ページ下の利用規約に同意して次へをクリック。
今年分の申告書等の作成の右端にある三角マークをクリックしてプルダウンメニューを開き、所得税を選択。
作成開始をクリック。
生年月日と質問に回答して、次へ進むをクリック。
該当する所得をそれぞれ入力。
ここでは例として事業所得、給与所得、配当所得の入力について説明していきます。
事業所得の入力
事業所得は収入金額と所得金額を入力するだけです。
種類は農業と営業等(農業以外)
事前に会計ソフトなどで計算しておきましょう。
支払者(収入源)ごとの詳細を入力。
配当控除と外国税額控除の計算だけであれば、入力の必要はありません。
終ったら入力終了(次へ)をクリックして、事業所得の入力は完了です。
給与所得の入力
続いて給与所得について入力していきます。
給与所得の横の「入力する」をクリックすると以下の画面が開きますので、源泉徴収票をもとに入力していきます。
右側に番号付きでどの項目を入れればいいか説明されているので、つまずくことはないかと。
最後まで入力したらページ右下の入力内容の確認をクリック。
以上で給与所得の入力は完了です。
手順② 年間取引報告書の入力
続いて配当控除のために、配当所得を入力していきます。
配当所得横の「入力する」をクリック(図中③)
総合課税を選択して「特定口座年間取引報告書」の内容を入力するボタンをクリック。
各証券口座の年間取引報告書と対比して、各項目を入力していきます。
楽天証券の配当所得の入力方法
楽天証券の年間取引報告書の見本を引用して解説していきます。
年間取引報告書の①と③を参照して、e-Tax画面の口座情報の入力にチェックを入れます。
続いて白枠の「この特定口座(源泉徴収~」の横にある「配当等」にチェックを入れます。
年間取引報告書の⑧⑫⑯をe-Tax画面の各欄に転記します。
上場株式該当等控除額が空欄だとエラーになるので、ない場合も0円と入力してください。
⑯納付税額と⑰還付税額の写し間違えにも注意(入力するのは納付税額です)
名称の証券・銀行名等に「楽天証券株式会社」分類「証券」と入力。
ネット証券の場合、本支店名の記載は不要です。
続いてほかの証券口座の配当情報を入力する場合は、もう1件入力する(書面)をクリック。
すべての証券口座について入力が終わったら入力終了(次へ)をクリック。
ポップアップウィンドウで「源泉徴収税額が20.315%になっていません」と表示されますが、これは外国の配当を含んでいるためです。
気にせずOKをクリック。
SBI証券・SBIネオモバイル証券の年間取引報告書の入力
SBI証券とSBIネオモバイル証券の年間取引報告書は同じ書式なので、一緒に説明します。
SBI証券の年間取引報告書の見本①②を参照して、e-Tax画面の口座情報の入力にチェックを入れます。
続いて白枠の「この特定口座(源泉徴収~」の横にある「配当等」にチェックを入れます。
年間取引報告書の⑧⑫⑯をe-Tax画面の各欄に転記します。
上場株式該当等控除額が空欄だとエラーになるので、ない場合も0円と入力してください。
⑯納付税額と⑰還付税額の写し間違えにも注意(入力するのは納付税額です)
名称の証券・銀行名等に「株式会社SBI証券」または「株式会社ネオモバイル証券」分類「証券」と入力。
ネット証券の場合、本支店名の記載は不要です。
続いてほかの証券口座の配当情報を入力する場合は、もう1件入力する(書面)をクリック。
すべての証券口座について入力が終わったら入力終了(次へ)をクリック。
ポップアップウィンドウで「源泉徴収税額が20.315%になっていません」と表示されますが、これは外国の配当を含んでいるためです。
気にせずOKをクリック。
手順③ 配当控除の入力
年間取引報告書を入力した証券口座の一覧が表示されるので、各証券口座の配当控除の入力ボタンをクリック。
通常は何も入力せず、計算を押せばOKです。
〇計算結果及び所得の計算に数値が入ったのを確認して、入力終了(次へ)をクリック。
すべての証券口座で入力(計算)を完了したら、入力終了(次へ)をクリック。
前年に株式の売却損を繰り越した場合は「はい」を、それ以外は「いいえ」を選択して入力終了(次へ)をクリック。
手順④ 総所得と所得控除の確認
所得一覧ページが表示されるので、間違いがないか確認して入力終了(次へ)をクリック。
所得控除一覧画面になるので、該当する項目を入力。
寄付金控除(ふるさと納税)なども忘れずに。
終ったらページ右下の入力終了(次へ)をクリック。
手順⑤ 外国税額控除の入力
ここまでもだいぶ長かったですが、いよいよ最後。外国税額控除の入力(計算)です。
税額控除一覧の外国税額控除等の入力するをクリック。
外国税額控除の入力画面が開いたら
- 外国税額控除額の計算がお済みでない方を選択
- 証券口座の配当案内書または支払通知書の内容を、本年中に納付する外国所得税額の欄に転記
- 入力欄が足りなければ次ページをクリックして追記
また特定口座(源泉徴収あり)で米国ETFを買い付けている場合、次の欄は固定入力になります。
入力項目 | 入力内容 |
---|---|
国名 | 米国 |
所得の種類 | 配当 |
税種目 | 源泉所得税 |
源泉・申告の区分 | 源泉 |
通貨 | ドル |
入力は証券口座ごとにまとめてもOK
海外税額控除の入力は配当案内書・支払通知書ごとに1つずつ入力してもいいですが、かなり大変です。
入力は証券口座ごとに1年分を1つにまとめて入力してもいいので、普段からエクセルやスプレッドシートでまとめておきましょう。
(このとき「所得の計算期間」を1月1日~12月31日、納付確定日と納付日を年内最後の配当案内書・支払通知書の日付で入力します)
その他の入力欄については以降の見本図と対比表を参考にしてください。
楽天証券の配当金案内書の見方
e-Taxの入力項目 | 楽天証券の配当案内書の項目 |
---|---|
納付確定日 | 確定日 |
納付日 | お支払い年月日 |
相手国での課税標準(外貨) | B税込金額(外貨) |
相手国での課税標準(円) | 国外源泉税課税標準額(円) |
左に係る外国所得税額(外貨) | C国外源泉徴収税額(外貨) |
左に係る外国所得税額(円) | 申告用国外源泉徴収税額(円) |
SBI証券の配当金案内書の見方
e-Taxの入力項目 | SBI証券の配当案内書の項目 |
---|---|
納付確定日 | 現地基準日 |
納付日 | 配当金等支払日 |
相手国での課税標準(外貨) | 配当金等金額 |
相手国での課税標準(円) | 配当金等金額(円) |
左に係る外国所得税額(外貨) | 外国源泉徴収税額 |
左に係る外国所得税額(円) | 外国源泉徴収税額(円) |
手順⑥ 配当控除額と外国税額控除の確認
お疲れさまでした。
これが最後の入力項目です。
調整国外所得の計算に、先ほど入力してきた「相手国の課税標準」の合計金額を入力します。
またご自身の住所が政令指定都市かどうかに応じて、「はい」「いいえ」を選択してください。
入力終了(次へ)をクリック。
配当控除額と外国税額控除額が表示されます。
入力終了(次へ)をクリック。
所得と所得控除、税額控除の一覧が表示されます。
外国税額控除等の区分も、この画面で確認することができます。
副業サラリーマンの確定申告(青色)には『やよいの青色申告オンライン』
以上、配当控除と外国控除の計算方法でした。
手順として見ると長いですが、書類をもれなく準備したり、配当金をあらかじめ集計できていれば、30分程度の作業です。
特に副業を頑張りながら高配当投資をされている方は、会計ソフトを導入して、しっかり節税の恩恵にあやかりましょう。
Windowsならやよいの青色申告オンライン、MacならFreeeをおすすめします。

私はWindowsなので『やよいの青色申告オンライン』を使いました
- 事業所得(収入と経費)の入力が超簡単
- なのに青色申告の面倒な書類が勝手にできてる
- クレジットや銀行口座と連携して自動入力も可能
- 1年間無料で使用できる
- やよいソフト内でe-Tax申請まで完結できる
最後のe-Tax申請についてMacは未対応なのですが、Windowsなら完璧です。
(なのでMacユーザーの方はFreeeをおすすめします。無料期間が30日しかありませんが、やよいとほぼ同じことが可能)
経費をうまく活用しながら副業で給与以外の収入をゲット。投資資金をアップ。
投資額が増えると税金も増えますが、配当控除と外国税額控除をきっちり確定申告。配当を取り返して、FIRE達成までの道のりを少しでも短くしていきましょう。ではでは。
おまけ|やよいの青色申告オンラインでの配当控除・外国税額控除の入力のやり方
やよいの青色申告オンラインで確定申告する場合、今回計算した配当控除額と外国税額控除額を次のように入力します。
Step.3 確定申告書の作成の3-2.所得の入力 総合課税の所得より。
配当所得欄に、各証券口座の年間取引報告書を参考にして、まず収入金額を入力。
ここは国内配当、外国配当の合算(税引前)です。
つぎに「うち源泉徴収税額」にチェックを入れ、入力欄に同じく年間取引報告書の国内所得税(税率15.315%)を入れます。
住民税、外国で源泉徴収された税額は含めません。
5-2. 所得税額控除では、e-Taxで計算した配当控除額を入力。
5-3. 所得税の納税額確認の外国税額控除等に、e-Taxで計算した区分と控除額を入力。
あとはやよいの言う通りに任せて入力していけば、青色申告でe-Tax申請ができます。
ぜひお試しあれ。
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